マスコミが取り上げるニュースのネタは、プレスリリースに基づくこともよくあります。プレスリリースをうまく作成してマスコミに興味を持ってもらえれば、宣伝効果も上がります。
私は以前、新聞記者としてニュースを取り上げる仕事をしていました。新聞社に送られてくるプレスリリースの数は膨大ですから、取捨選択して実際に取材するのはほんの一握りです。その基準は、中味ももちろんですが、プレスリリースの書き方によるところも大きいです。ここでは、メディアに取り上げられるプレスリリースの書き方について紹介します。
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プレスリリースと広告は全然違う
自分の商品を宣伝する方法として、あなたは何が思い浮かびますか?
まず昔からある方法としてチラシ広告を作って配る方法、口コミで宣伝してもらう方法、新聞や雑誌の広告欄に出してもらう方法、影響力のある人に紹介してもらう方法などがあります。
最近では、自分でホームページを作って紹介することは当たり前、フェイスブックページやライン@などビジネス向けのSNSも無料で作成することができます。
そして、もう一つの方法がパブリシティを行うこと、つまりプレスリリースをマスコミに送り、マスコミにニュースとして取り上げてもらうよう働きかけるという方法です。具体的には、「こんな商品を作りました」「こんなサービスを始めますよ」といった情報を、マスコミ向けにまとめて文書を作成します。これをメディアに送り、担当者が「面白そう」と興味を持てば、取材をしてメディアに掲載してもらえるかもしれません。
一つ注意しなければならないのが、プレスリリースは広告とは全然違うということです。メディアの記者の目的は、面白い話題を読者や視聴者に紹介することであって、あなたに代わって広告宣伝することではありません(もちろん結果的に宣伝効果があるのですが)。目線はあくまでも読者、視聴者です。
間違っても問い合わせのときなど「プレスリリース広告を送りたいのですが・・・」なんて言ってはいけません。広告は、自分でお金を払って新聞や雑誌のスペースを買って宣伝をするもの。ジャーナリスト魂に燃えた記者に「では、お金を払って広告を出してください」とムッとされてしまってもしょうがありません。
ですから、プレスリリースは、読者、視聴者のために「この商品はこんなニュース性がある」「このサービスを提供することで、社会にこんな貢献できる」ということを意識して作らなければなりません。そしてそれを言葉で盛るのではなく、客観的な事実やデータで正確に伝えることが大切なのです。
配信会社を利用する方法も
では、プレスリリースをどうやって新聞社やテレビ局に届けたらいいのでしょうか?
プレスリリースをマスコミに送るには、いくつか方法があります。もし友人や知人にマスコミ関係者がいれば、その人を通じてお願いするのが一番いいでしょう。いくらネット社会とはいえ、一番強力なのは人と人とのつながりです。掲載を約束されるまではないかなくても、ちゃんと中身を読んでもらえることは間違いありません。
次に、プレスリリース配信会社にお願いするという方法があります。配信会社は、記事の制作から配信まで一手に引き受け、プレスリリースとして各種ネットメディアに掲載してもらうというシステムを構築しています。料金はかかりますが、多くのネットメディアに一気に配信したい人にはいいでしょう。ただし、新聞やテレビの記者の目に届くかどうかは定かではありません。
そして、私が一番おすすめしたいのが、自分で作って自分で送るという方法です。自分で作った商品、企画したイベントの良さを一番知っているのはその人です。それならば、そのことを一番情熱を持って伝えることができるのは、その人自身のはずです。名文である必要はありません。ちょっとしたコツをつかんで、伝わる文章が書けるかどうかです。
そのために、ちょっとしたコツを覚えれば、書くことができます。
A4一枚にまとめる
まずは形から。プレスリリースは、A41枚にまとめましょう。どんなに伝えたいことがたくさんあっても、情報をそぎ落として必ず1枚にまとめます。あまりに長い文章は、忙しい記者が読み進めようという気がしません。忙しい記者が概要を知るには、それくらいの長さで必要十分だからです。さらに知りたければ、ホームページを見ます。
プレスリリースに決まった形式はありません。ただ、記者が見慣れている書き方に沿ったほうが、内容をよく理解してもらえることにつながるでしょう。一日に何枚もリリース原稿に目を通す記者にとって、使い慣れている文体のほうがストレスなく入っていけるからです。
その書き方とは、まず15~20字の主見出し、20~25字のサブ見出しがあって、その下に本文があるというものです。
特に重要なのは見出しです。メディアには毎日数えきれないほどのプレスリリースが送られてきており、記者たちは複数の仕事を同時進行でこなしているので、丁寧に時間をかけて読む時間はありません。まずは見出しを読んで面白そうなら本文を読み、記事にできそうか、映像が面白そうかどうかを一瞬で判断します。せっかく商品やサービスの情報がよくても、内容が伝わらなければ、一瞥しておしまいです。「県内初」「業界初」ということは必ず見出しに取るようにしましょう。
本文では、一段落目にまず結論を書いてしまいます。記者は要するに何か、ということを早く知りたいのです。そこで「いつ、どこで、何が行われます。こんな人を対象としていて、こんな面白いことをやってます」といった一番言いたいことを、手短に言ってしまうのです。見出しになる言葉は全部一段落目に含まれるようにしましょう。
そして二段落目からは、内容、意義、経緯などを書いていきます。添付する写真は1、2枚程度にします。そうでなくてはA4一枚に収めることができません。そして最後に、問い合わせ先として住所、名前、連絡の取れる電話番号、HPアドレスなどをまとめて記載します。
次は中身についてです。